たよらこそだて

幼稚園教諭と保育士経験をそれぞれ10年以上。自閉症児やダウン症児の加配、息子の子育てから学んだあれこれを書きます。

【自閉症児の加配メモ】こだわりとのつき合い方と止め方

自閉症児の特徴でもあるこだわり。

その子によって違いますが、重なる部分も多くあります。

Fくんのこだわりもたくさんありましたが、特に水に興味がありました。

蛇口をひねったら止められない。

でもずっと流しっぱなしには出来ない。

そんな悩みを特別支援学校の先生のアドバイスで解決出来ました。

 

 

自閉症児の特徴やこだわり

自閉症の子の多くに見られる特徴やこだわりをいくつかあげてみます。

  • 目が合わない
  • 言葉がオウム返し
  • 名前を呼んでも反応しない
  • 周りに気づかず興味のあることに集中する
  • 要求や思いが届かないとパニックになる
  • 大きな音など特定の音には敏感
  • 水が好き
  • 光や水を見る時に手をひらひらさせる

Fくんは、呼んでも話しかけても目が合わない。

「どれが欲しいの?」と聞くと「どれがほしいの」と答える。

気になったものがあったら一目散に走り、人にぶつかることを気にしないなどもありました。

 

水が大好き

特に水が大好きで、水の流れや動き・光る様子・水の感覚を好んでいるようでした。

何も言わなければずっと水を出しています。

「水おしまい」と言っても聞こえていません。

こちらが止めようとしたならば怒ってパニックになり大変です。

どうしたら良いものか分からず困りました。 

 

水を止める魔法の方法

養護学校のT先生が、数を数えて区切る方法を教えてくれました。
「10になったからおしまいね。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」
と伝えて蛇口を閉めようとします。

 

奇声をあげて、止めたくない気持ちをFくんが伝えてきます。
「そっか、もっとやりたいの?じゃあ、もう1回だけよ。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」
ゆっくり数えて、また止めようとします。

また?うん、怒ります。

 

「もうちょっとやりたいの?じゃあ、これでおしまいよ。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」

これを何度も繰り返します。

 

はじめのうちは果てしない繰り返しなのですが、Fくんにも水が飽きる時がきます。
その時と数え終わったときが重なったときに
「えらいね。おしまい出来たね」
と声を掛けます。

はじめは偶然で構わないのです。


繰り返しているうちに、数える回数が減ってきました。
時には10まで1回数えただけで、止められる日も…。

 

長いスパンで少しずつ

怒らなくてもいいし、パニックにならなくてもいい。
ただ区切りを伝えて、一緒に寄り添って待つだけ。

待っている間は長いのですが、その時間も困った顔でFくんに寄り添うことなく、一緒にゴールを探している感覚になってゆったりとした時間が流れるようになっていきました。
もちろん2,3日のことではありません。
1週間、2週間という長い時間をかけてゆっくりと。

 

養護学校に授業見学へ行った時にも、先生方がこの方法を行っているのを目にしました。

体育館で体操をしていた時間でした。

入り口で中に入りたくないと座り込んでいる子に「皆のことを見ているだけでいいよ、10数えたら中に入ろう」と声を掛けていました。

何度も繰り返してやっと一歩前に進んだかと思ったら、三歩くらい後ろへ戻ってしまって、見ていて「わぁ、大変だ」と思いましたが、先生は冷静な声で励ましながら、一歩ずつ前へ進める言葉掛けを選んでいました。

無理やり中に入れても何の効果もありません。

本人のやる気を待っていても、きっかけがなかったら前へ進めないままの時もあります。

自分の気持ちで行動する、それを褒めてもらうという循環が大切なのだと気づきました。

 

普段の保育や子育てへの応用

この方法、自閉症児だけでなく、保育中にも大活躍です。
どうしても切り替えられない子、切り替えられないときのおまじない。 

 

外遊びから部屋への入室を嫌がって、なかなか気持ちが切り替えられない子がいますよね?
「まだ遊びたいのね。いいよ。10数えて待っているね。数え終わったらお部屋に入ろうね」と声を掛けると、あっという間に入室しますよ。

 

中には「数えないで!」と嫌がったり怒ったりする子もいます。

穏やかな口調で言っても、急かされていることが分かるのでしょうね。賢いですね。

そんな時は「分かった、数えるのが嫌なのね。それじゃ、先生目を隠しているからその間に〇〇しちゃってね」と伝えます。

〇〇はイヤイヤ期の二歳児クラスなら、トイレ後のパンツを履くとか着替えをするなどです。

目を閉じて顔を隠したふりをして薄っすら目を開けて見ると、頑張っている子どもの姿が見えていじらしくなります。

自分でやりたい、自分の意思でやりたいからこそのイヤイヤなのですよね。

「もういいかい?」と聞くと「まーだだよ」と言って急いでいます。

「もういいかい?」ともう一度聞くと「いいよ」とお許しが出て目を開けます。

すごーく時間がかかったときにも、必ずこう言います。

「わ、もう終わっちゃったの??はやーい」

照れたり、どや顔したりします。

 

一度では出来ないことはしょっちゅうだし、上手くいく時ばかりではありません。

そして時には時間がなくて待ってあげられないこともあります。

出来る範囲で構いません。
必ず、出来たときには誉めてくださいね。

「…どれだけじかんかかったのだ」
という言葉とため息は心の中で。

 

 

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