たよらこそだて

幼稚園教諭と保育士経験をそれぞれ10年以上。自閉症児やダウン症児の加配、息子の子育てから学んだあれこれを書きます。

【自閉症児保育】出来そうなことをひとつだけ目標にして進む

 

特別支援学校の先生から自閉症児保育のアドバイスを頂く

園に定期的に来てくれた特別支援学校の先生は、T先生という男の方でした。

定期的といっても、数ヶ月に一回くらい。

定期的に来る先生も時々変わっていました。

Fくんが入園した頃に、回ってきてくれた先生はT先生。

 

T先生とFくんの初対面

T先生はFくんの様子を、少し距離を置いて静かに見ていました。

奇声や物や人への体当たりなどには反応せず、何かが出来た時などプラスの行動に「お、Fくんすごいね」と静かに声を掛けていました。

わたしになかなか心を開いてくれなかったFくんが、初対面のT先生にはすりすりと寄って行くのです。ショックでした。

発達障害を持っている子は特に感受性が強く、相手が自分に対して持っている感情に敏感な気がします。

わたしの中に「Fくんとの毎日辛い」「楽しくない」という気持ちが潜んでいることを、感じ取っていたのでしょう。

時間をかけても距離が縮まなかったのはわたしに問題があったのだと、今なら分かります。
 

T先生が最初にしてくれたこと

T先生が最初にしてくれたことは、保育の見直しではありませんでした。

わたしが取り組んできたこと、頑張ってきたことに耳を傾けて「大変でしたね」「頑張りましたね」と共感してくれました。

ボロボロになっているわたしの心の修復でした。

その時は良いと思っていたFくんへの対応はダメダメなことばかりだったと、ずいぶん後になって気づきました。
こだわりを諦めさせようとしたり、静止を多くしたり。

Fくんが嫌がることを、Fくんのためだと思ってしていました。

T先生は、わたしの保育を否定することはありませんでした。
T先生はFくんにもわたしにもダメな部分について反応せず、プラスの行動にのみ声を掛けてくれていたのです。 

 

ヒントは出来そうなことをひとつだけ目標にして進む

あまりにもボロボロだったわたしと、そしてFくんを心配して月に一度の訪問をしてくれることになりました。

訪問のたびに、わたしの話を「頑張っているね」と声を掛けてくれ、Fくんへの対応で困っていることに対して「こういう方法があるよ」と毎回一つだけ目標をくれました。

最初にもらった目標です。

Fくんが走る(逃げる)→その後ろを追うという関係性を変える。

どうしたらその関係性を変えられるのか。

それは、Fくんの行こうとする気配や気持ちを察して

「どこかに行きたいの?」

「〇〇に行きたいの?」

「いいよ、じゃあ、一緒に行こう」

と共に動くようにするのだそうです。難しい💦

 

はじめは「テラス(お気に入りの場所の1つでした)行きたいの?」と聞くと、止められると思ったか顔をこわばらせていました。

「いいよ。一緒に行こう」と声を掛けると、表情がほぐれたことを思い出します。声の掛け方で、こんなに関係性が変わるのかとハッとした出来事でした。

 

子育てへの応用

自閉症児はじめ発達障害のお子さんだけでなく、全ての子に通用する方法です。

子どもだけでなく大人にも。

出来そうなことひとつだけを毎回目標にしてコツコツ取り組む。

あれもこれも頑張れと言われたら出来なかった。

Fくんに対して何も出来ないと思っていた自分が、T先生のアドバイスで少しずつ前に進むことが出来ました。

困った時や悩んだ時に一刻でも早く出られる緊急出口を見つけようとしがちですが、目の前にある山をひとつずつ乗り越えれば道は必ずつながっていきます。

 

子育て中、息子(希生)に対しても、出来そうなことひとつの目標を一緒に決めて取り組むことを大切にしました。

学習もお手伝いも、ちょっと頑張れば出来そうな目標をひとつずつ乗り越えていくことで自信を持ち、自己肯定感が育ったように感じます。
日常の成功体験の積み重ねは大きいです。

 

頑張りすぎている自分やお子さんに、目標のハードルを下げてひとつに絞ってあげてみて下さい。

出来たらたくさん褒めましょう。

最終目標が高い場所にあるような気がしていても、一段ずつコツコツと登っていけばきっといつか辿りつくはず。

大丈夫ですよ。

 

 

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